深山さんちのベルテイン

深山さんちのベルテイン (GA文庫)

深山さんちのベルテイン (GA文庫)

久しぶりのラノベ感想、そして初の新刊!(出てから半月も経ってますが)
というわけで逢空万太先生の『深山さんちのベルテイン』です。

私は同作者の『這いよれ! ニャル子さん』シリーズは読んだことはないので、ニャル子さんネタがあったとしても気付きませんでしたが(多分ここだろうというところはありましたが)、単品で見ても十分に楽しめる作品になっているかと思います。
主人公の琥太郎が女装キャラだということで買ったわけなのですが、そちらが主軸というわけではなく、琥太郎とメイドロボ・ベルテインを中心とした暖かな日常を描いた短編集です。あと琥太郎はあらすじに書かれているような「男の娘」というより作者が後書きで言っている「女の子予備軍」のほうがしっくりきますね。男の娘だの女装少年だのといった言葉の定義については私見になってしまうのであくまでも私個人の印象ですが。
上記のように女装キャラ目当てで買ったのですが、ベルさんがいい味出してますね。ベルさんのようなマスコットキャラクター的立ち位置だったり、そこから生まれるほんわかした日常ストーリーなんかは王道そのものですが、こういう静かな作品もたまにはいいものです。短編集形式も作品の雰囲気作りにマッチしていますね。
ただ唯一不満の述べるとしたら幼馴染の理々ですね。不良たちさえ愛らしいキャラクターとして描かれているためか、余計に理々の理不尽な暴力の描写がこの作品の暖かな雰囲気にマッチせず気になってしまいました。コメディ描写なのはわかっているんですけどツンデレ=暴力みたいなキャラクターはどうも好きになれません。
それさえ除けば、読みやすい文章と良質の雰囲気で進行するとてもライトノベルらしい短編集だと思います。長期シリーズ化は難しいでしょうが、せめてあと1,2冊は読みたいと思える作品です。