おまえをオタクにしてやるから、俺をリア充にしてくれ!5

今回は村上凛先生の『おまえをオタクにしてやるから、俺をリア充にしてくれ!5』の感想です。
オタク主人公柏田直輝がリア充を目指す物語も5巻目。桃、長谷川、小豆各ルートでブレーキのかかった前巻でしたが、今回は短編集ということで時系列もばらばらのキャラ掘り下げ回で、今後の本筋にがっつり関わってきそうな内容だったのは最後の長谷川さん短編くらいですかね。
桃、小豆、あかり、ムラサキさん、鈴木の短編は純粋なキャラ掘り下げの短編。桃とは妹を交えての遊園地デート、小豆はコスプレ撮影会、あかりはブラコン発症、ムラサキさんは同人原稿の手伝い、鈴木は姉に頼まれてBLグッズの買い物と、今までに提示されてきたキャラクターの要素を全面に出した短編になっていました。この中では小豆やムラサキさんの短編が中々楽しめたんですが、小豆の短編ってコミケ直後なので3巻辺りの話なんですよね。4巻最後の微妙な空気はまだ払拭されていないので、そこをどう処理するのかは6巻以降に持ち越しです。あとムラサキさんのなんでも一つ言うことを聞くという約束は本編で使うのか、今回のような短編のネタにするのかは分かりませんが出てきた以上は使うでしょうからどこで約束を行使するかも見物ですね。
さて、今回一番重要な長谷川さんの短編なんですが、内容は長谷川さんの中学時代の親友が通う高校の学園祭に行くというもの。自分たちの学校の出し物の参考にすると見て回った出し物も2人で楽しみ、また長谷川さんが親友・園田莉緒とは歯に衣着せぬ態度で接したりと普段見れない長谷川さんの素の一面を見ることが出来たりとここまでは他の短編と変わらずキャラ掘り下げ回です。しかし最後の最後でかなり重要な発言が飛び出ましたね。

それがまさか……この後、長谷川ではない、他の女の子と付き合うことになるなんて……このときの俺には、微塵も想像することなどできなかったんだ。
村上凛おまえをオタクにしてやるから、俺をリア充にしてくれ!5』(富士見ファンタジア文庫) 281ページ

さて、これをどう読み取るか。最終的に長谷川さんエンドになるというのなら、桃なり小豆なりとの付き合いを挟んで、「やはり俺は本命の長谷川に!」という王道展開になるでしょう。以前からずっと言っているように完全長谷川派な私としては、今回長谷川以外と付き合うと明記されたことによって逆に長谷川エンドに行く可能性は高くなった!とかなり大真面目に思っているわけなんですが、これでもし物語が長谷川以外(まぁ桃でしょうかね)のエンドに収束するとしたら長谷川さんの扱いが悪いなんていうレベルじゃなくなってしまいますよ。オタク柏田がリア充になるための動機付けにしかならないじゃないですか。前巻の感想で「自分を磨いて彼女ゲットなときメモ展開希望」と書いたのでそれに例えるとすれば長谷川=藤崎詩織なんですよ。長谷川さん攻略の難易度が一番高いのは分かる。周りにいる自分に好意的な虹野さん的キャラにコロリといきそうになるのも分かる。それでも最後には長谷川さんと結ばれるんだと信じずにはいられない。ほんと頼みます村上先生。
そんな感じで短編集なのにえらい爆弾が投下された第5巻。桃・鈴木サイドや小豆とのその後もまだ語られておらず、これは否が応でも6巻以降が気になってしまいます。どれだけ劣勢を強いられようと、私は最後まで柏田と長谷川さんのトゥルーエンドを諦めない!