スカイ・ワールド4

今回は瀬尾つかさ先生の『スカイ・ワールド4』の感想です。読むものはたくさんあるのに読む時間が確保できない日々が続いております。てなわけで感想も10日遅れで富士見Fの新刊から。
3巻ではエルフの王女とのやり取りなんかを通してスカイ・ワールドという世界の存在について問題提起されましたが、この4巻では引き続きそのテーマについて考えつつ、前々から言及されていた第四軌道へ挑戦するためフエルファイ・キャンペーンへと挑みます。
というわけで第四軌道へ挑むために17の島をめぐり様々なクエストを攻略していくというのが今回のゲーム要素のメインとなるのですが、4巻にもなるとクエスト攻略やモンスター退治も手慣れたものですね。メインストーリーがスカイ・ワールドの世界観の方へシフトしてきている分ゲーム部分は以前のようには深く描写はされていない印象です。今回はゲーム部分よりもそれぞれの女の子たちとジュンの関係を掘り下げてキャラ描写に徹した小休止回といった具合でしょうか。
で、そのキャラ描写に関してですが、ここへきてジュンがサクヤとどれだけ親密な関係であるかということが事あるごとに描写されていましたね。今までずっとネットゲームで共に過ごしてきた親友としての友情描写なんでしょうけれど、これだけ信用し、分かり合っているとカスミさんもうかうかしていられないですね。ジュンのパーティーに入り込んだサクヤという異物がどれくらい人間関係をかき乱してくれるのか楽しみでしょうがありません。既にエリあたりは動揺しまくってますが、そんな彼女も人間味溢れてて好きですね。表紙になるほど優遇されているかといえば微妙ですが、こういったネトゲ特有の付き合いの要素を一手に引き受けているエリはこの作品には無くてはならない存在ですね、本人は大変でしょうけど。まぁ動揺しないのはリュカくらいでしょう。というか彼女は本当に小学生なのか?
そんな感じで最後にサクヤと合流して、遂に次からは対人戦の第四軌道へと舞台を移すことになるようで、新たな仲間、新たな舞台で物語がどのように動くのか、スカイ・ワールドという世界は一体何なのかと気になることは未だに盛りだくさんで早く続きが読みたくて仕方ないですが、なんにせよジュンたちがスカイ・ワールドというゲームを心から楽しんでくれるかどうかが一番の懸念事項ですかね。血生臭い展開を臭わせていますが、その点だけは保って欲しいです。

Amazon Kindle

流行っているのかいないのかよく分からない電子書籍なるものを使ってみようかなということで、AmazonさんのKindleのアプリをタブレットにインストールして、ライトノベルを数冊買ってみました。
で、ちょっと使ってみて思ったことをいくつか。

購入が容易

まぁ当然ですが家の中にいながらワンクリックで読みたい本を買えるというのは非常に便利ですね。新刊なんかは定価のままの物も多いですが、富士見FやMF文庫Jの既刊タイトルは429円(紙媒体に比べ30%オフ)とそれなりに手頃。新作の時に気になっていたけど急いで買うほどではなかったタイトルなんかを買ってみようかなんて気にさせてくれますね。本音を言えばもう少し紙媒体に対して価格面でアドバンテージを有して欲しいです。400円を切ってくれれば万々歳なんですが。

場所を取らない

今回Kindleを利用した最大の理由がこれ。データなので場所を取らない!これは良い!どれだけ買ってもタブレットPCスマホが1つあるだけですべての本が読める。いやぁ便利な世の中になったもんだ。今の私の生活環境にはドンピシャで非常に重宝しそうなのですが、まぁこの点に関しては人によりますね。実態があるものじゃないと嫌だ、紙をめくって読みたいんだという人は非常に多いと思います。というか私もこの4月からの生活環境の変化さえなければ電子書籍に手を出さなかったでしょうから、根っこでは紙媒体派なんですが、今のところはデータならではの恩恵を享受しています。

検索

所謂Ctrl+Fが使えるというところ、これが非常にデカイ!今まで紙の本を読んでいたときに単語検索ができたならと何度考えたことか。PCのページ内検索に慣れきってしまっている身としては本で検索が行える環境は非常に有り難いです。また、目次から各章の先頭にリンクが貼られているのも便利といえば便利なんですが、よくよく考えたら紙媒体でもページの移動は大して手間じゃないですね。

本を買っている実感が薄い

「紙媒体より安い!」「場所を取らない!」など良い点を挙げましたが、場所を取らない、実態がないが故にお金を払って本を買っているという感覚が紙媒体に比べてどうも薄いですね。しかも紙に比べて安いので「紙に比べてこれだけ安いから浮いた分でもう1冊」とついつい買い過ぎてしまいがちになりそうです。紙媒体だったら自重するのかと言われればかなり怪しいところですが、通販やダウンロード購入独特の気の緩みといいますか中毒性はありそうです。本屋の売り場が四六時中手元のPCにあるってことですからね。読書好きにはかなり危険な代物です。

サービス終了の恐怖

電子書籍配信サービスが終了すると共に購入物がパーになる危険があるというやつですね。これに関しては実際にそういう状況になってみないとわかりませが、読んで終わりと割り切れる人ならいいんですが、ラノベ読みって蔵書を貯めこんでいく人が殆どだと思うんですよね。シリーズ作をコンプリートしていく一種のコレクション的なものとでも言いますか。電子書籍でも購入リストにシリーズがズラッと並ぶのはそれはそれで壮観なんですが、万が一サービス終了でそれが消えてしまったら、なんてことを考えてしまうのは電子書籍特有の悩み・欠点ですね。

挿絵の解像度

ここまでは買う前から色んな所で電子書籍に関して散々言われていることですが、買ってみて分かった欠点として、挿絵の解像度が低い!今回は三屋咲ゆう先生の『学戦都市アスタリスク 01.姫焔邂逅』を買ったのですが最初についている水上学園都市の学園紹介の文章が潰れていてかなり読みにくい!せめて拡大して読めるくらいの解像度にはして欲しいですね。読むのに支障がでるのはちょっと・・・。あと、別に欠点ではないですが穂史賀雅也先生『オウガにズームUP!3』第二話での水着品評会の変則的な挿絵が再現されていなかったのは少し残念でした。

あと新刊配信が紙の発売に比べ遅いという欠点もありますが、新刊ですぐ欲しいような本は紙で買うのでそこら辺はあまり私には関係ないですね。初めて電子書籍を使ってみて色々と利点・欠点が見えて来ましたが、タブレット1つでラノベが何冊も管理できるという点はやはり大きいです。これからお世話になることが多くなりそうです。いやぁ本当にネット社会って便利ですね。

ところで、今回買った本は以下の4冊なんですが、ヤギとオウガは紙で既に読んでますがKindle版も買いました。大好きな文章をタブレットにも入れたいというのもありますが、まぁぶっちゃけお布施ですね。なんだったらBookWalker版も買いますよ。だから穂史賀先生、どうか、どうか新作を!もう3年半ですよ!早くほんわか穂史賀ワールドを!
暗闇にヤギを探して 3 (MF文庫J)
オウガにズームUP! 3 (MF文庫J)
オウガにズームUP! 4 (MF文庫J)
学戦都市アスタリスク 01. 姫焔邂逅 (MF文庫J)

友達からお願いします。

友達からお願いします。 (MF文庫J)

友達からお願いします。 (MF文庫J)

今回は清水マリコ先生の『友達からお願いします。』の感想です。読んだのだいぶ前ですし、ちょっと今手元に本がないので内容間違ってるかもしれませんがご容赦を。4月ということで生活環境がガラッと変わりなかなか更新できていませんが、出来る限り更新したいなぁ・・・できるといいなぁ。
ひっそり静かに日々を過ごしたいと考える山科楓はある日、モノレールでクラスメイトの田中木蓮に出会う。真面目すぎて思ったことをズバズバ言ってクラスで目立っている美少女・木蓮と極力関わりたくない楓はバレる前にモノレールを降りようとするが、木蓮に見つかり問い詰められてしまう。話すうちに二人がモノレールに乗った理由が同じだったことがわかり、話を交わすうちに二人は段々と仲良くなっていく。
というあらすじですが、ぶっちゃけこれだけで中身のほぼ全てですね。突飛な設定なんて特になく、ただ主人公とヒロインが言葉を交わすうちに仲良くなっていっただけの話です。けどだからといってつまらないことは全くないんです。主人公・山科楓が日々を静かに過ごしたいなんてラノベ主人公のあらすじ文の常套句を口にする理由は中盤語られるわけですが、それがどんな人でも一度は経験したことがあるんじゃないかというような共感できる理由で、昔の失敗や恥をかいちゃったことがちょっとしたトラウマになっちゃうことってあるよねと、すごく主人公に感情移入できるんですよ。楓の友人と木蓮がもしも良い感じになっちゃったら・・・なんていう不安もよく分かります。異能持ちで無双したりする主人公もいいですが、こういった等身大な凄く人間らしい主人公も私の好みど真ん中です。
逆にヒロインの方は、真っ直ぐ言いたいことを言うところだったりは共感できたり憧れたりするんですが、こちらはあくまでも憧憬で、ヒロインという偶像といった感じ。凄く良い子なんです、ヒロインとしても可愛らしくて合格なんです、でもこんな子いねえよとふと思ってしまいました。主人公が等身大すぎてヒロイン側の属性がちょっと浮いて見えるのかもしれません。それに比べるとサブヒロインの水森彩香のほうが人間らしいといえるでしょうかね。典型的な用意されたヒロインという感じじゃないところが好みです。まぁあくまでもサブなんですけどね。三角関係を形成するまで行ければ御の字ですが、多分無理でしょうね。木蓮が一強すぎる。
そんな感じで、主人公とヒロインというか一組の男女がふとしたことから仲良くなりましたというだけの話ではありますが、ありがちなファンタジー設定なんてなくても十分に面白い青春小説です。単巻だけでも十分に私にはヒットだったのですが、なにやら続きが出ることは既に決まっているとのこと。タイトルやサブヒロインの存在を考えれば最終的には木蓮との恋仲に収束するのでしょうが、別にそうならなくてもいいんじゃないか、このまま異性の友達のままな空気ももうちょっと味わっていたいと思ってしまいました。ラブコメに針が振れたらそれはそれで楽しみますけどね。

しゅらばら!7

しゅらばら! 7 (MF文庫J)

しゅらばら! 7 (MF文庫J)

今回は岸杯也先生の『しゅらばら!7』の感想です。
ヒロインたちが一度事情を全て一大に説明して仕切り直してから、今度は正面から正々堂々恋のバトルをしようと誓い合った矢先、声優の早少女の彼氏持ち発覚騒動がネットを中心に巻き起こってしまった前巻。その騒ぎは真愛や鷹奈の関係者にも知れ渡り、今まで続いてきた一大とヒロイン3人との偽恋人の関係に変化が訪れる。
早少女の彼氏騒動が勃発したことで4人の偽恋人関係にどのような影響が出るか半年間楽しみでしょうがなかった第7巻、遂に来ました。声優というアイドル性の高い立場で恋人の存在が露呈してしまったことで、ネットやリアルにおいても心ないファンからの攻撃をうけることになる早少女。一方、真愛は騒ぎを知った志束に偽彼氏のことがバレて今後の行動を極端に制限されることになり、鷹奈もまた後輩の桃乃に一大が偽彼氏であることがバレてしまう。しかし、早少女周辺では事務所やクラスメイトが協力して早少女を守ってくれる流れとなり、真愛も窮地に追い込まれながらもマツリの助言もあって自分の気持ちをより強固なものとし、鷹奈も桃乃に事情と自分の本当の気持ちを正直に打ち明け今まで抱えていた問題を解決する。問題に直面しながらも悲観せず、愛や絆、友情をもってして前向きに進んでいこうとするヒロインたち。綺麗に収まるのかと思いました、ここまでは良かったんですよ、ここまでは。
それなのにヒロイン3人が一堂に会した途端、もう駄目ですよ。既成事実化せんと彼氏騒動を利用している早少女、行動が制限されてなりふり構っていられない真愛、約束を破り抜け駆けで告白をしてしまった鷹奈。互いに恋敵への見苦しい言い訳、責任の擦り付け合い、罵り合い。自分はしょうがない、お前のほうが悪い。前回までの表面上は親友同士で互いに牽制し合うなんていう冷戦のような静かな黒さなどではなく、周りも気にせず声を張り上げての大喧嘩。249ページのイラストなんて、もうみんなマジギレしてるじゃないですか。いや、読んでる側としてはこの上なく面白いですけどね!やっとガチの修羅場が来たんですから。今まで6冊かけてしっかり積み上げてきたものをこれでもかというほど爆発させてくれて、もう大満足ですとも。そうですよ、こういうのが読みたかったんですよ!一大さん可哀想過ぎますけどね。そりゃレイプ目にもなるさ。
途中までせっかく良い話っぽく進んでいたのに最後の最後で友情なんて投げ捨ててヒロイン全員ブチギレ大喧嘩というラノベヒロインにあるまじき展開が繰り広げられた第7巻。そしてそんなヒロインたちを目撃してしまい、3人が今まで示し合わせていたことについても知ってしまったっぽい一大は一体どうなる!?皆反省して謝って解決、ヒロインたちも仲直り、と綺麗に収まるのがベストなんでしょうけれど、今回の大喧嘩を見ていると果たしてそれができるのか非常に疑問なヒロイン達が今後どのように動くのか、ガールズトーク・タイム(カタストロフ編)を何度も読み直しながら楽しみにして8巻を待つことにします。

冴えない彼女の育てかた3

今回は丸戸史明先生の『冴えない彼女の育てかた3』の感想です。
キャラが立っていない女の子・加藤恵をメインヒロインとしたギャルゲーを作ろうとする安芸倫也が繰り広げるオタク物語第3巻。前巻はシナリオ担当の霞ヶ丘詩羽先輩のメイン回でしたが、今回はキャラデザ・原画担当の澤村・スペンサー・英梨々の担当回です。恵の当番回は一体いつ来るのか。それどころか表紙イラストを飾るのはいつになるのか。案外最終巻までなかったりして。
まぁ相変わらずフラットな加藤さんは置いておいて、今回は夏コミからスペンサーさんと倫也の過去話へと展開する流れ。途中に倫也のライバル的な男キャラが1人出てきますが、今回に限ればどうでもいいキャラです。表紙のサブヒロインの登場と彼女の作る同人誌を契機に、スペンサーさんと倫也の過去が明らかになっていくわけですが、イジメ云々から疎遠になるという話はまぁ小学生時代ってこういうことよくあるし、でもどうしようもできないことが多いよねって感じのある意味定番な過去話でそれ自体は特に言うこともないですが、その過去から現在に至るまでのスペンサーさんの面倒臭さと言ったら。本人にとってはどうしても譲れないところなのでしょうし、それだけ倫也のことが好きなのだということが表現されていて読んでる方はニヤニヤなんですけど、傍から見たらえらい面倒臭い女の子ですね。倫也への依存度が半端ないです。なんとも丸戸先生らしいヒロインで、こういう危うい子大好きですよ。まぁこれだけイベント消化しても未だに共通ルートで、メインヒロインは加藤恵なんですけどね。
幼いころの過去話という幼馴染キャラの最大の武器を駆使してガッチリ倫也とのイベントを進行させたスペンサーさんメインの第3巻。期待しているドロドロ修羅場はまだないですが、登場人物のキャラが段々立ってきているのでスペンサーさんの依存度たっぷりの面倒臭さに今後期待したいですね。脇2人の当番回を消化したのでいよいよ次回以降今まであまり進んでいない気がする冬コミにむけてのゲーム制作が中心となりそうですが、そうなると今回登場した波島兄妹をライバルに配置しての進行となるのでしょうか。しかしそうなるとますます恵の影が・・・まぁ毒舌キャラとして開花しそうだしそれはそれでいいか。
余談ですが、今回丸戸先生お得意の名古屋ネタ名古屋飯の話がありましたが、天むすや味噌カツがイコール名古屋扱いされるのに一言言いたくなるのは多分県民性故ですね、そうですね。

デート・ア・ライブ7 美九トゥルース

デート・ア・ライブ7  美九トゥルース (富士見ファンタジア文庫)

デート・ア・ライブ7 美九トゥルース (富士見ファンタジア文庫)

今回は橘公司先生の『デート・ア・ライブ7 美九トゥルース』の感想です。
遂に来た!狂三メイン回!・・・と言っていいのかこれは?前回、十香はDEM社に拉致されて他の精霊たちは美九の能力で洗脳されてしまい為す術のない士道の前に現れた時崎狂三。自らもDEM社に用があるという狂三と現状を打破するきっかけがどうしても欲しい士道は共闘し、打倒誘宵美九と十香奪還へと向かう。
というわけで前回から持ち越した問題が2つあったわけですが、ストーリー的に重要なのはDEM社関連の話ですね。いかにもラスボスっぽい社長さんが<王国>の反転がどうとか言って十香を黒化させ、その能力を奪おうとしていましたが、まだまだ情報が少なく敵さんの思惑の全容はわかりづらいままです。琴里あたりが詳しいことを知っていそうですしそのうち説明は入るでしょう。4巻で描かれた琴里の破壊衝動なんかもこの黒化に関連したものなのかなど気になることは色々ありますが、今のところは黒化した格好良い魔王な十香を堪能するのがベストですかね。あとがきで作者も言っているように黒化後はいつもの霊装と違い露出度が高くて、エロくて非常によろしゅうございました。十香さん正気に戻りましたけど、今後もあの霊装使ってもいいんですよ?
一方美九に関しては、「過去に色々あって男性不信、人間不信になってたけど士道なら信じられるかも」てな感じでいつも通りにお約束的にヒロイン側がデレました。なんでしょう、ヒロインが簡単にデレることに関しては作品のテーマ自体がそれそのものなのでもう今更なんですが、主人公の士道に私自身読んでいてしっくりこないというかなにか微妙な感じです。優しい性格で綺麗事・理想論を口にする典型的なラノベ主人公ではあるんですが、ちゃんと体を張って敵とバトルしたりもしてますし、決して口だけなキャラではないのは分かっているんですが、その口にする綺麗事、特に今回強調されていた「ヒロインのためなら命さえも投げ捨てる」みたいなところに少し違和感を感じるといいますか。そりゃ琴里の能力あれば死なないですけどね、もうそれあなた人間じゃないでしょうと。ラノベによくある優しさが取り柄な主人公といった作中での描かれ方と、自己再生しながら天使振り回して「自分の命は二の次だ」と心の底から言い放っている狂人っぷりが釣り合っていないかなぁと。まぁ士道に関しては作中でもちょくちょく思わせ振りな描写がされているので、実は士道が作中一の化け物でしたといった展開になるのではないかと期待していますが。そうなったらしっくりくるかな。
そんな感じで6巻からの続きものだった第7巻、前回からの話は片付きましたが、色々と今後のストーリーの根幹に関わってきそうな要素も新たに登場し、話はまだまだこれからといった印象ですね。あれ、狂三の話をしていない!?まぁ最初の方に可愛らしい狂三は結構あったんですが、基本士道のために時間稼ぎしてただけなんで特筆することがないといいますか・・・。いや、囚われの精霊がどうとか言ってたし、きっと次回以降バリバリに大活躍してくれるに違いない!

安達としまむら

安達としまむら (電撃文庫)

安達としまむら (電撃文庫)

今回は入間人間先生の『安達としまむら』の感想です。久しぶりに私の好みド真ん中でした。
体育館の二階で授業をサボっていたところたまたま一緒になり友達になった安達としまむら。そこで二人は取り留めのない話をしたり、たまに卓球をしたりして二人きりでの時間を過ごし、友情を育んだ。それは普通の女子高生のようなワイワイ騒いで慣れ合うような関係ではないけれど、二人にとってはちょうどいい距離感。そんな風に日常を過ごしていくうち、安達はだんだんとしまむらに対してある想いを募らせていく。
てな感じの入間人間先生の最新作で、入間作品初挑戦。電撃文庫マガジンで読んで以来ドハマりして文庫になるのを今か今かと待ち望んでいました。内容は電撃文庫マガジン掲載分に書き下ろし2つを加えた全5章ですが、特に明確なエンディングや衝撃の展開が追加されたということはなく、雑誌掲載時の雰囲気をそのまま最後まで続けたものになっています。取り留めのない会話をし、卓球をしたり、ボーリングをしたり、カラオケにいったりと、なんということはない日常の繰り返し。掴みどころがなくて飄々としたしまむらと、そんなしまむらに段々と好意を募らせていきその想いに振り回される安達。そんな二人の気怠さを感じさせつつも非常に心地良い、絶妙な距離感と静かな時間の流れ。安達サイドでは同性に好意を寄せ、あーだこーだと悩んだりする描写がメインとなるので百合作品としても十分に見ることはできるというか、安達サイドに関しては完全に百合なんですが、それよりも二人の女子高生の特別なことのない普通の日常の一部を切り抜いた青春小説といった印象のほうが強いですかね。まぁ買った理由は百合目当てで、些細な事に一喜一憂する安達とかめっちゃ可愛いかったですけど、百合にしろ青春にしろどちらの雰囲気もこの淡さ、静かさが好みド真ん中で非常に楽しめました。いやぁここまで私の好みを突かれるとは。
この作品は「この場面が良い!このキャラが良い!」てなことは言わずに、ただひたすらに作品の空気を感じ、楽しむべき作品ですね。淡々と進む中でしっかり登場人物たちの心理が上手く描写され、見事に作品全体の空気を構成しています。うん、非常に良いです。もっとこの雰囲気を味わっていたいですが、ここで十分綺麗に締まっていますしね。安達がしまむらに告白するとすれば続きも出るでしょうが、それはちょっと違うか。いや、してもらっても全然構いませんが。なんにせよ続きが出るなら間違いなく買いますよ。こういった静かな雰囲気に浸る作品がもっと出てきて欲しいです。