友達からお願いします。

友達からお願いします。 (MF文庫J)

友達からお願いします。 (MF文庫J)

今回は清水マリコ先生の『友達からお願いします。』の感想です。読んだのだいぶ前ですし、ちょっと今手元に本がないので内容間違ってるかもしれませんがご容赦を。4月ということで生活環境がガラッと変わりなかなか更新できていませんが、出来る限り更新したいなぁ・・・できるといいなぁ。
ひっそり静かに日々を過ごしたいと考える山科楓はある日、モノレールでクラスメイトの田中木蓮に出会う。真面目すぎて思ったことをズバズバ言ってクラスで目立っている美少女・木蓮と極力関わりたくない楓はバレる前にモノレールを降りようとするが、木蓮に見つかり問い詰められてしまう。話すうちに二人がモノレールに乗った理由が同じだったことがわかり、話を交わすうちに二人は段々と仲良くなっていく。
というあらすじですが、ぶっちゃけこれだけで中身のほぼ全てですね。突飛な設定なんて特になく、ただ主人公とヒロインが言葉を交わすうちに仲良くなっていっただけの話です。けどだからといってつまらないことは全くないんです。主人公・山科楓が日々を静かに過ごしたいなんてラノベ主人公のあらすじ文の常套句を口にする理由は中盤語られるわけですが、それがどんな人でも一度は経験したことがあるんじゃないかというような共感できる理由で、昔の失敗や恥をかいちゃったことがちょっとしたトラウマになっちゃうことってあるよねと、すごく主人公に感情移入できるんですよ。楓の友人と木蓮がもしも良い感じになっちゃったら・・・なんていう不安もよく分かります。異能持ちで無双したりする主人公もいいですが、こういった等身大な凄く人間らしい主人公も私の好みど真ん中です。
逆にヒロインの方は、真っ直ぐ言いたいことを言うところだったりは共感できたり憧れたりするんですが、こちらはあくまでも憧憬で、ヒロインという偶像といった感じ。凄く良い子なんです、ヒロインとしても可愛らしくて合格なんです、でもこんな子いねえよとふと思ってしまいました。主人公が等身大すぎてヒロイン側の属性がちょっと浮いて見えるのかもしれません。それに比べるとサブヒロインの水森彩香のほうが人間らしいといえるでしょうかね。典型的な用意されたヒロインという感じじゃないところが好みです。まぁあくまでもサブなんですけどね。三角関係を形成するまで行ければ御の字ですが、多分無理でしょうね。木蓮が一強すぎる。
そんな感じで、主人公とヒロインというか一組の男女がふとしたことから仲良くなりましたというだけの話ではありますが、ありがちなファンタジー設定なんてなくても十分に面白い青春小説です。単巻だけでも十分に私にはヒットだったのですが、なにやら続きが出ることは既に決まっているとのこと。タイトルやサブヒロインの存在を考えれば最終的には木蓮との恋仲に収束するのでしょうが、別にそうならなくてもいいんじゃないか、このまま異性の友達のままな空気ももうちょっと味わっていたいと思ってしまいました。ラブコメに針が振れたらそれはそれで楽しみますけどね。