司令官レオンの野望

司令官レオンの野望 (富士見ファンタジア文庫)

司令官レオンの野望 (富士見ファンタジア文庫)

今回は築地俊彦先生の『司令官レオンの野望』の感想です。前回ナンバリングがないと思ったら番号は付けないんですね。
前回董多久美と二瀬・フリーダ・凍紀を倒したことで校内ランクが百番台まで上昇した名波斗・N・レオン。そんなレオンの参謀を務める主人公・軽野健流に目を付けた校内ランク1位のレオンの宿敵アーシェ・ウェルズリーがレオンと健流に決闘を仕組んできた。さらにはその影でアーシェの参謀・諸角孔明がレオンと健流にある策略を巡らせる。
そんなわけで偉人転生モノの第2巻。前回最下位のレオンがランク7位と3位をいきなり倒すのも唐突でしたが、今回の対戦相手は1位、4位、5位。それぞれアーサー・ウェルズリー、ジョン・チャーチル、オイゲン・フォン・ザヴォイエンの転生者です。世界史が苦手な私でも名前くらいは知ってる偉人ですね(まぁ名前くらいしか知らないと言ったほうが正しいですけど。)そんな上位ランカーに健流がレオンや多久美、凍紀たちと共に挑むわけですけども・・・えっと、これ打ち切りですか?別に明言とかはされてないですけれど、孔明によって横槍を入れられつつも2人の絆で見事ランク1位のアーシェに勝利!これからもランク1位を目指して頑張ろうぜ!・・・どう見ても「俺たちの戦いはこれからだ!」なんですけど。ミニチュア兵士をぶつけ合わせるだけという内容で盛り上がりがつけにくいというのは前巻からですが、それにしたって1位倒したらもうすることないですし、早々に見切りをつけたんでしょうかね。
あとそういった打ち切り感満載の内容の割りを食ったのか、本作最大のセールスポイントのキャラ描写もかなりなおざりな感じになってしまっていた気がします。多久美と凍紀の2人のやり取りなんかは中々好みで楽しめたのですが、多久美は前回同様キャラが薄いままでしたし、凍紀も弟関連の話がかなり駆け足で、せっかくの良キャラなのに勿体無いです。レオンに関しては1巻からずっとテンプレ的キャラなのであまり気にはなりませんでしたが、それでも少し物足りない感じが残ります。多久美と凍紀ではなくレオンを選ぶ流れも、無理やり多久美と凍紀を負けさせた印象が強いですね。最後の未練がましい凍紀の描写は良かったですけど。
そんな感じで、1位の宿敵キャラを倒してレオンとより仲良くなって終わり、とかなり作業的に話を描いて終わってしまった第2巻。前述の通り明言こそされてはいませんが打ち切り感が半端無いです。これで万が一3巻が出るのなら凍紀目当てで喜んで買わせて頂きますが、たぶん無理じゃないでしょうかねぇ。築地先生は自分の好きな歴史や偉人をテーマにして楽しく書かれたのかとあとがきなどを見て推察しますが、もう少しバトルなどで盛り上げられたら良かったんじゃないかなぁというのが正直な感想ですね。