私とあなたの青春革命。2

私とあなたの青春革命。(2) (電撃文庫)

私とあなたの青春革命。(2) (電撃文庫)

今回は広沢サカキ先生の『私とあなたの青春革命。2』の感想です。
生徒会と対立する青春革命部に所属する主人公・天道優馬。ある日、コレクターと呼ばれるアイドル関連の物品を盗む窃盗犯が人気ユニット『カルテットベリー』の新曲歌詞を盗んだので取り返して欲しいとの依頼を受け、麒麟堂先輩と優馬は2人でアイドル科女子寮に潜入することになる。
といった内容で、アイドルを守るという名目で恐怖政治を行う生徒会から生徒の自由を守るため戦う青春革命部の物語は第2巻。今回はカルテットベリーのメンバー・ゲンブが書いたラブソングを歌わせたくない生徒会と、その歌詞に込められたゲンブの幼馴染への想いをどうしても伝えさせてあげたい青春革命部の間で対立が起こるわけですが、アイドルの恋愛禁止云々はまだしもラブソング歌うの禁止って・・・。アイドルソングから恋愛要素抜けとか無茶苦茶ですが、まぁ生徒会は1巻からこんな感じのアレな連中でしたね。典型的な悪の組織を突っ走ってくれています。一方、前回は基本的に先輩の金魚の糞状態だった主人公は前回よりは自発的に行動して物語を動かし、多少は主人公らしくなったように思います。作中で言及されているように多少善意の押し付けが過ぎるような気もしましたが、フィクションで物語の中心になる人物ならこれくらいは普通でしょうかね。
キャラ要素は前回から大分改善されたように思いましたが、肝心の物語の展開・内容は変わらず可もなく不可もなく。広沢先生の文章は読みやすく、王道展開と捉えればつまらないことは決して無いのですが、展開はすぐ予想がついてしまうものでしたし、また今回は麒麟堂先輩があまり目立っていなかったこともあり全体的に盛り上がりに欠け、面白いかと言われれば答えに困りますね。「この作品ならではのセールスポイント!」みたいなものが無いんですよ。あとぶっちゃけて言ってしまえば、「アイドライジング!本編を放置してまで書く必要のある作品なのか」という思いが終始頭の中にあり、作品単体を純粋に楽しめていないというのはあると思います。
そんな感じで、「つまらないことはないけれど、これ書くくらいならアイドラ書いてよ」と思わずにはいられないというのは1巻から変わらないです。隔月で2つ掌編が出るだけなのはなまじ作品が続いていることが分かってしまうだけに逆に辛い。早くアイドラ5巻出してください。
あと、前回も書きましたが、やっぱりこんな生徒会の横暴を許す前にアイドル科を独立させるべきだと思う。