スカイ・ワールド3

スカイ・ワールド3 (富士見ファンタジア文庫)

スカイ・ワールド3 (富士見ファンタジア文庫)

明けましておめでとうございます。去年は色々忙しくて後半ちょっと更新ペースが落ちたような感じで、感想を書こうと思っていたけど結局書いてない本が結構あったので、今年は週に1,2回は更新したいなぁなんて思います。まぁ今年も色々と忙しいのは間違いないんですけどね。
さて新年1発目は瀬尾つかさ先生の『スカイ・ワールド3』の感想です。さっそく去年からの持ち越しタイトルです。
前巻の大規模レイドで金欠になったジュン達は、エルフの国をダークエルフから守るクエストで金稼ぎをしていた。その国ではエルフ族の王女・キーサンドラが自らの特殊能力でクエストを作り出し冒険者を雇うことで国を守ってきたが、ある一味の魔の手が王女に忍び寄り、王女は誘拐されてしまう。
といった感じで内容的にはエルフの王女が誘拐されて能力を奪われクーデターが起こったことと、そのクーデターでユーカリアが裏切りジュンたちと彼女との絆が問われるという2つのイベントが話のメインです。リアル世界で兄に依存していたユーカリアが、その兄との間違った関係を自ら正してジュン達パーティーメンバーとの絆を新たにするという展開でしたが、ちょっと唐突で駆け足気味かなぁと感じましたかね。序盤のほうで多少匂わせていたのでそういう話になるのはわかってはいたんですが、するならするで1巻丸々使ってもうちょっと詳細に描いてくれたほうがユーカリアのキャラ付けにも良かったんじゃないかと思います。
今回はそういったイベントやキャラ描写よりも、「スカイ・ワールド」という世界の構造に関する言及・考察がメインでしたね。単なる既存のゲーム世界にダイブしてしまったというだけでなく、NPCも自我を持ち、ゲームという枠を超えた確固とした1つの世界が形成されているという可能性。その世界の中でクエストなどのゲームシステムが与える影響とその範囲、そしてそこにゲームプレイヤーが介入しゲーム上の能力をもってしてゲームシステム・ゲームバランスや世界の秩序までもを破壊し得るという危険性。そんなゲームとリアルが混在した「スカイ・ワールド」という世界を作り出し『転生』を行った運営側の正体と意図。色々と分からないことだらけですが、単なるゲームダイブ物からゲーム要素ありのファンタジー物へと移行してきた中でこれらの謎要素は適度なスパイスとなって、物語の続きに興味を持たせてくれる展開になって来ました。そしてなによりそういった世界の謎に挑戦しようとしているジュンが非常に楽しそうで、「冒険していて楽しい世界」という本作のコンセプトを体現している良主人公だと思います。
スカイ・ワールド世界の謎に段々と触れてきて、次回は遂に第四軌道へと挑戦しようといった展開になるようです。ヤバ気な情報しかない第四軌道以降でもジュンが冒険を楽しむ姿がしっかりと描かれることを期待します。そしてここらへんからサクヤも本格参戦してくるんでしょうか。かすみさんもそろそろメインヒロインポジで胡座をかいてはいられなくなる頃合ですかね。そんなラブコメ部分にも期待大です。