精霊使いの剣舞9 クロス・ファイア

今回は志瑞祐先生の『精霊使いの剣舞9 クロス・ファイア』の感想です。
前回は決勝前の小休止ラブコメ回でしたが、今回ついに決勝戦開始です。戦いの舞台に散り散りに転送されたカミト達は、各々敵と遭遇し精霊バトルを繰り広げることになります。そんな感じに順調に精霊剣舞祭が進行しつつ、各勢力たちの裏で暗躍する影、過去の因縁、思惑その他色々なものが入り乱れ、登場人物の数だけ物語が描かれています。
描かれているんですが、多くのことをいっぺんに書こうとし過ぎているのではないかというのが読み終えて感じたことですね。最終的に一つの事象に収束していくのかもしれませんが、それでも現時点でキャラクター毎にバラバラに描かれている複数の展開をあっちもこっちも全部入りで描こうとするが故に、それぞれの描写が薄くなりあまり印象に残らなくなっているように思います。「魔王が〜」とか「精霊王が〜」とか「お姉さんが〜」とか、それぞれ一つづつしっかりと描写していけばそれだけで盛り上がっていく要素であるはずなんですけど、全部を並行して進めていっているので読者側の関心もバラけてしまうんですよね。色んな話が入り乱れてという展開もそれはそれで面白くはあるんですが、なにか勿体なさを感じずにはいられない展開でした。個人的にはリリィやミュアとのバトルよりもレスティアやお姉さんの話に重点を置いて欲しかったといったところでしょうかね。
今までが結構のんびりしたペースで進んでいた分、今回ちょっと色々と起こりすぎて駆け足だったのかなと感じてしまいましたが、内容自体はいつものままですね。設定や展開で読者の予想から外れることは全くなく、安心してページをめくることができる安定感は流石です。次あたりエストとレスティアの二刀流をしそうですが、予想通りだとしても二刀流展開はやはり燃えるので是非やってほしいですね。あと精霊剣舞祭が終わった後も話が続くのかも気になるところ。長く続いてくれるに越したことはありませんし、15巻くらいまでやってもらって結構ですよ。