星刻の竜騎士Ⅹ

星刻の竜騎士(10) (MF文庫J)

星刻の竜騎士(10) (MF文庫J)

今回は瑞智士記先生の『星刻の竜騎士Ⅹ』の感想です。発売日から大分経ってしまったなぁ。
前巻でユリエルとの戦いに勝利したアヴァロン聖竜皇騎士団だったが、時期シェブロン王国国王最有力候補だったユリエルの敗北により王国内で他の継承者が内紛を起こす可能性が高くなってしまう。混乱を極めるシェブロン王国を統治するにはオスカーが適任であったが、魔薬の呪いを受けたままの彼女を救うためには薬を調合した宮廷薬師キーラを見つけ出さなければならなかった。しかもそのキーラという少女はルッカの幼馴染だった・・・。
といった感じで、ルッカが過去の因縁と立ち向かいキーラを捕まえて解毒剤ゲットで第二部完!・・・かとあらすじを読んで思ったんですが、そうではなくてルッカはオスカーの治療のためにアッシュとともにエクブラッド人の究極奥義を完成させようとし、キーラの方に関しては過去の逆恨みからマザー・ドラゴンに復讐し、暴れまわる変わり果てたマザー・ドラゴンとエーコ達が戦うといった感じで二つに内容が分かれています。内容的には対シェブロン王国編完結とドラゴンに関する話を少しといったかんじですが、キャラ的には今回はルッカがアッシュと閉鎖空間で二人っきりで修行したり、悪堕ちした幼馴染が出てきたりと紛うことなきルッカ回。ただ個人的にはマザー・ドラゴンとエーコの親子シーンや、エーコとシルヴィアの共闘シーンのほうが印象が強く、あまりルッカ回といった印象を受けなかったですかね。挿絵は明らかにルッカ優遇なんですけど。
今回一番重要なのはルッカ優遇でもオスカー復活でもなく、マザー・ドラゴンが死んだことですね。オーファンの儀は途絶え、竜飼い人が生まれることは永久になくなってしまったわけですが、この事象をどう処理するか。作品内時間では既に竜飼い人である登場人物たちが揃っているので問題はありませんが、騎士国の将来にとっては大問題ですので、そこに焦点を当てた話を書いていくのかというのは非常に興味深いところですね。まぁアッシュとエーコが結ばれてドラゴンとの新たな共存の可能性が云々といった話にするのが一番有り得そうですかね。ドラゴンの存続がかかっているという理由があれば他のヒロイン達も認めざるを得ませんし。まぁ最終的にはハーレムでしょうけど。
前回がかなり白熱していた分、今回は少し大人しめな印象を受けた第10巻。特筆すべき場面や展開はあまりありませんでしたが作品全体の安定感や安心感は流石といったところ。キーラやカサンドラといった問題を残しつつも、まぁなんとか一区切りはついたのかなといった感じです。これから第三部に入っていくようですが、何度か言っているようにそろそろ増えすぎたキャラを補完するための短編なりを挟んでもいいんじゃないでしょうかね。