スカイ・ワールド2

スカイ・ワールド2 (富士見ファンタジア文庫)

スカイ・ワールド2 (富士見ファンタジア文庫)

今回は瀬尾つかさ先生の『スカイ・ワールド2』の感想です。
MMORPGの世界に閉じ込められてしまうという定番設定作品の第2巻。この2巻ではグループ戦闘、CC、レイド、PvP、ギルドウォーといったゲーム要素を全面に出した展開となっています。ソロでは太刀打ち出来ないモンスターに大勢の仲間と立ち向かったり、アイテムを巡ってギルド間でいざこざが生じて戦闘になったりと主に集団戦がメインで描かれています。ヘイト管理やクラウド・コントロールなどの要素を交えて描かれる戦闘パートは作者が書きたいことをひたすら詰め込んだと言うだけあって非常に活き活きと、魅力的に描かれていますね。ジュンたち登場人物がMMORPGの世界を楽しんでいるというのが凄く伝わってきて、オンラインゲームの楽しさというのが十二分に表現されているように思います。MMORPGに馴染みのない人にとっては見慣れない単語が出てきたりもしますがその都度説明も入り、またそれによってテンポを損なわれることもなく、この手のゲームを経験したことがない人がオンラインゲームをやってみたいと思わせるだけの魅力はあるのではないかと思います。
キャラ描写に関しては、恋愛要素はほぼメインヒロインのかすみ一強なのでそれほど強調されるようなところもなく、オンラインゲーム特有の他のプレイヤーとの繋がりを絡めた描写が目立ちましたね。前回も描かれたようなオンラインでの男女問題や、集団戦闘での他者との付き合い、そしてゲームダイブもの特有のNPCとの付き合いなど、人との繋がりの中でのキャラクターたちが描かれていて、キャラの描き方でもあくまでもゲームのプレイヤーという大前提を崩していない感じです。まぁジュンたちがサクヤと同じ階層まで行けば主要キャラ同士の掛け合いに重きが置かれていくとは思いますが。
オンラインゲームならではの要素がふんだんに詰まった第2巻でした。ゲーム要素を詰め込み過ぎと言えないことも無いですが、1巻でしっかり下地を作ってあるおかげでキャラクターもきちんと捉えることが出来てゲーム部分・戦闘部分の描写に没入できました。現時点では少しゲーム内に閉じ込められている危機感が希薄かなぁとも思いますが、それは今後更に上の階層に進んでいけば否が応でも直面する課題だと思うので、現状ではこのくらいの軽さで丁度いいのかもしれません。それにしてもこの作品を読んでいるとゲームがしたくなる、時間ないのに。