おまもりひまり10

おまもりひまり 10 (ドラゴンコミックスエイジ)

おまもりひまり 10 (ドラゴンコミックスエイジ)

今回は的良みらん先生の『おまもりひまり10』の感想です。
第59,60話がエイジに掲載された時に感想を書こうかどうか悩んで結局書かなかったんですが、問題の話が収録された10巻が発売されたので今になって書きます。その60話というのがヒロインの1人である神宮寺くえすが酒呑童子との戦いで死亡するというもの。掲載時から読者の間でも賛否両論あったようですが(否定意見のほうが多いんでしょうかね)、私個人の感想としては全く驚きも落胆も失望もない、いたって的良みらんらしいというか、むしろ懐かしささえ覚える展開とでも言いますか。
その懐かしさこそがこの展開に対する賛否の分かれ目、つまりは的良みらん先生の過去の成人漫画を読んでいるかどうかで意見が別れるような気がします(完全な偏見ですが)。昔からの的良みらんを知っている読者からするとヒロイン死亡みたいな多少の鬱展開があってこその的良作品という認識なんですよね。過去作ではヘッドショットで脇ヒロインが死んだことも有りましたし。おまひまの外伝の書に収録された過去編もいかにも的良先生らしいと感じましたし、暗い展開や多少の鬱グロこそが的良みらんなんだ!という認識があるかどうかが賛否の境目でしょうかね。
あと「主人公がちゃんと戦えよ!」という意見もあるでしょうけど、これも過去の的良作品の主人公を知っているかどうかによるといいますか、ぶっちゃけ前述のヘッドショットの件を含めて『Angelical Pendulum』を読んでいるかどうかだと思います。主人公の一成は前世が天使ですが別に能力が覚醒して敵を倒すような展開にはなりませんでしたし、メインヒロインのチセリに関しても純粋なハッピーエンドではないですし、脇ヒロインのアンテラのヘッドショットもありましたし。的良作品とはそういうものである!と分かっているかどうかの差異が今回の展開に関する意見の相違なのかなぁと思います。そういった意味では10巻の作者コメントなんかは的良みらんという漫画家およびその作品について再認識したというか、「何を今更」といった感じの内容でした。
そんな感じで、成人漫画時代から的良先生の漫画を読んできて的良先生の作品像が掴めている人からすればなんてことはない展開だった10巻ですが、今回のくえす死亡でおまもりひまりを読むのをやめる読者も少なくないかと思います。的良先生自身もそれを承知した上で甘い展開ではなく自分らしい展開を選択したんだと思いますが、くえす死亡で切ろうと思っている人ももう少し様子見したほうがいいと思いますよ。前述の『Angelical Pendulum』でもチセリとアンテラは最後生まれ変わって戻って来ましたし、くえすが生き返る可能性も十分ありますからね。