ニーナとうさぎと魔法の戦車5

今回は兎月竜之介先生の『ニーナとうさぎと魔法の戦車5』の感想です。気付いたら発売からもう2ヶ月以上経ってるじゃないですか。感想書くのすっかり忘れてました。
今回はラビッツのメイド・サクラをメインに据えた物語。ラビッツ号の砲身が折れてしまい、買い換えるための費用を稼ぐために戦車レースに参加することになったラビッツ。その大会の主催者である青年社長・コルノがサクラに一目惚れしてしまい、規定の10倍の賞金とサクラとの結婚を賭けて勝負することに・・・。
といった内容で、今回は戦争の負の部分だったりにはあまりウエイトは置かれていません。サクラの過去が語られる過程で戦時中の描写があるので暗い話全く無しという訳ではありませんが、メインは戦車レースなので基本的には今までで一番明るい話です。戦車レースの描写は今までの命のやり取りとはまた別の熱さがあり、レース中のキャラクター同士の掛け合いなども前巻までと同様安定して面白く、作品全体で非常に安定した作品だという印象を受けます。欲を言えば、もっとアリス成分や百合成分を増やしてくれればなぁとも思いましたが、そこは6巻以降に期待しておきます。
ただ唯一不満を言わせてもらうと、今回出てきたコルノがどうにも不愉快でした。どんな過去があったのかは一応作中で説明はされていますが、読者として私が感情移入するのはあくまでもラビッツメンバーですから、カネでサクラを買うだの開催者権限でルール違反をしようとするだの自分勝手するキャラを良く思えるわけがありません。最後に社長をクビになって一文無しになって好き勝手やってきた報いは受けるものの、お前が会社の部下を敵に回したのと女の将来賭けて賞金10倍にしたのとは話が別だろうと。何踏み倒してるんだと。こいつがもう少しマシなキャラだったら良かったんですがね。これだけが本当に残念なところです。
そんなわけで今回のストーリーの中心となるキャラの一人はどうにも不愉快でしたが、ストーリー自体は全く問題なく今回も友情が熱い話でした。この不愉快野郎も今回限りのキャラみたいなので、まぁ深くは気にせずにニーナとアリスの百合が展開されることを期待しながら6巻を待ちたいと思います。