瑠璃垣夜子の遺言1

瑠璃垣夜子の遺言 1 (BLADE COMICS)

瑠璃垣夜子の遺言 1 (BLADE COMICS)

今回は宮下未紀先生の『瑠璃垣夜子の遺言1』の感想です。
『となりのランドセルw』ではベタなエロコメを描いている宮下先生ですが、こちらの作品ではサスペンスです。作者曰く、「クライムファンタジーサスペンスブラコン少女物語」だそうです。兄が過去に人を殺めたという秘密を守り通すため、夜子は邪魔者を始末することを決意するという話。そこに瑠璃垣家に住み着くライカという幽霊が登場することでサスペンスとしての不安定さを増長させているといった具合です。
登場人物は宮下先生お得意の可愛らしい女の子たちがメインですが、彼女たちの言動がその外観とは不釣り合いで、イジメがあったり殺人を一切躊躇わなかったりと中々にぶっ飛んでます。そのギャップこそがこの作品の一番の魅力ですね。ただ、幽霊を味方につけ利用し策略を巡らせ殺人を躊躇わない、色々吹っ切れている夜子ではありますが、どこかツメが甘いというか抜けているところがあり、そんな夜子から漂う可愛らしさがサスペンス作品としての暗さと宮下作品としての可愛らしさを上手く繋ぎ合わせていると思います。
ランドセルwの感想でも書きましたが、やはり宮下先生はこのような「可愛い絵柄で暗い作品」というのが向いているような気がします。エロコメもそれはそれで大歓迎ではあるんですが、このサスペンスだったり、共月邸の『白と黒』シリーズのような欝展開のほうが魅力的で惹かれるものがあるように感じますね。まぁそこは私個人の好みの問題でもあるでしょうが。なんにせよ宮下先生の絵は私の好みどストライクですので、異なる方向性の2作品が同時進行している現状を存分に楽しむことにします。