紫色のクオリア
- 作者: うえお久光,綱島志朗
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2009/07/10
- メディア: 文庫
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- 作者: うえお久光,綱島志朗
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2012/02/27
- メディア: コミック
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かなり今更なタイトルです。発売日に買って、アリスが出てくるところ、つまりちょうどコミックス1巻あたりまでは読んでいたんですが、そこから今まで放置していました。まどか☆マギカやSteins;Gateが人気だった昨年あたりに話題になっていた気もしますが、なんとなく積読に埋もれたままとなっていた本作。それを今回、まさに私に既読部分を復習させるために出たのではないだろうかというほどドンピシャなコミックスが出たので、残っていた後半部分を一気に読み進めました。
確かにまどか☆マギカとの共通点は多いですかね。ループや平行世界といった時間への干渉、それらの反復、世界構造の超越などあたりでしょうか(個人的には『いつか、届く、あの空に。』の巽策の狼殺しをふと思い出しましたが)。まぁ時間モノのSFではよくある要素なのでどちらの作品もさして目新しいわけではないですが、どちらもとても丁寧に描かれていて間違いなく良作足り得るでしょう。ただ、結末に関しては正反対で、私としてはクオリアの結末のほうが好きですかね。
トライ&エラーを繰り返し最後には世界からも逸脱した存在となった学が、今までの行為をただの自分のわがままであると悔い改め、ゆかりの気持ちを尊重し友達として共に過ごすことを選択する。「ゆかりを救う」という唯一かつ最大の目標が達成されないままエンディングを迎えたわけで、全てが綺麗サッパリ収まる爽快感はありませんでしたが、本来あるべき形を受け入れた学とゆかりの最も無難で、最も友達らしい選択はすんなりと受け入れることができ、読み終わった瞬間もとても落ち着いた余韻に浸ることが出来ました。
過程こそ劇的でしたが、達した結論は「普通」で、問題も未解決。しかしそこには確かに、過程を礎としてより強固となった友情がある。そんなあるべき形を見つけ出した少女の物語は、表面的なインパクトとは裏腹に、とても大人しい結末でした。こんなギャップもいいものですね。
漫画版のほうは次巻からが本番といったところですが、挿絵担当自らのコミカライズなだけあって原作完全再現です。視覚的な情報ってやっぱり大きいですね、綱島先生の絵はやっぱり良い。殺人鬼さんが個人的にお気に入り。とっても活き活きしてます。『1/1,000,000,000のキス』が漫画としてどう表現されるのか、とても楽しみです。