よくわかる現代魔法が256倍よくわかる本 他

今回は桜坂洋先生の『よくわかる現代魔法』シリーズのナンバリングタイトル以外のその他諸々についての感想です。それぞれでエントリーを分けることも考えたんですが、それぞれの分量が少ないので一括で。しかしそうなるとカテゴリーの問題が出てくるんですが、まぁラノベでいいか。

七つの黒い夢 (新潮文庫)

七つの黒い夢 (新潮文庫)

まずは新潮文庫『七つの黒い夢』に収録されている『10月はSPAMで満ちている』です。出版社は違いますが、収録されている桜坂先生の短編は現代魔法の番外編です。
派遣社員の主人公は派遣先に出向いた矢先、お隣さんに「お前が毎日猫にソーセージをやるせいで猫が居着いて俺の車が汚れるじゃないか!」と濡れ衣を着せられる。お隣さんなどどうでもいいが、真犯人を見つけ出すため主人公は調査を始める・・・。というどこがダーク・ファンタジーなんだと突っ込みを入れたくなる内容でしたが、派遣先の社員として坂崎嘉穂が登場するのでそれだけで満足といえば満足です。彼女は20代半ばになっても何も変わっていません。勤め先もなんとも嘉穂らしいといいますか。変わったのは眼鏡をかけていることくらいですかね、これは作者の趣味か。内容については特に言うことも無いですが、最後の締め方はなかなか好みですね。適度な爽快感がありました。そういやSPAM缶って食べたことないな。
よくわかる現代魔法が256倍よくわかる本 (よくわかる現代魔法) (スーパーダッシュ文庫)

よくわかる現代魔法が256倍よくわかる本 (よくわかる現代魔法) (スーパーダッシュ文庫)

次はスーパダッシュ文庫『よくわかる現代魔法が256倍よくわかる本』。アニメ放送時に出たファンブックのようなものですが、アニメ視聴者向けというより原作読者向けの内容。
内容はアニメ関連記事の他に、宮下未紀描きおろし漫画、書きおろし短編、詠唱呪文基礎講座、用語嘘解説など。漫画と短編はワンセットで、平行世界から複数のこよみが集まってくる話。大量のこよみというのは・・・面白そうというか鬱陶しそうというか・・・。文句垂れつつケーキを人数分用意する聡史郎はいいやつですね。オチについては、読んでて途中からずっと心配になっていたことがそのまま使われていて「やっぱりか」と思いましたが、これなにげにかなり怖いオチなんじゃないでしょうか。
詠唱呪文基礎講座については、古典魔法と現代魔法、詠唱呪文とプログラムの関係がちゃんと説明されていて面白く関心したんですが、これってプログラムをかじったことのない人はこよみ状態なんじゃないですかね。まぁおまけ程度の内容ですし理解しなくても全く問題ないですけどね。
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そして最後は共月邸『世界でいちばん簡単な現代魔法の本』です。桜坂洋先生の短編と宮下未紀先生の漫画が収録された同人誌です。
漫画は原作5巻から宮下先生が好きな場面を抜き出して描いた『たったひとつじゃない冴えたやりかた 原作準拠Ver』。5巻は途中挿絵が殆ど無かったので漫画という形で補完してくれるのは非常に嬉しいです。場面のチョイスも完璧ですね。宮下先生、いい仕事をなさる。
書きおろし短編は"jini使い"小野寺笑が主役の『exit(jini)』。家出から帰ってきた笑が再び"おっとテレポーター"の力を借りて家族という日常に向き合い、魔法という非日常と決別する話。おっとテレポーターに対する未練だったり、家族のことについて思案する笑のキャラがかなりツボでした。特に嘉穂との微妙かつ絶妙な関係性がいいですね。現代魔法シリーズの話の中では一番好きかもしれません。いや、べつに嘉穂☓笑とか考えていませんよ、えぇ。
商業で書けないことをしようというコンセプトだそうですが、こういった内容をもっと文庫で出してもらいたいですね。あと、こよみを追い回していたメン・イン・ブラックさんも登場していてちょっと驚きました。

そんなこんなで

現代魔法関連物もまとめて読んで、あと残っているのは作者監修のCDくらいでしょうか。いつになったら7巻が出るのか一読者では知る由もありませんが、ちゃんと出ますよね桜坂先生?待ってていいんですよね?