お前をオタクにしてやるから、俺をリア充にしてくれ!2

今回は村上凛先生の『お前をオタクにしてやるから、俺をリア充にしてくれ!2』の感想です。
前巻では主人公・柏田直輝とヒロイン・恋ヶ崎桃がタイトル通りの協定を結んである程度仲良くなったところに焦点が当てられていましたが、今巻では直輝・桃ともに自分の目標のためにしっかりと努力を重ねて行動をおこしています。直輝は長谷川翠との接触を試み、桃は鈴木が参加するコスプレイベントに参加するために新キャラ・桜井小豆と共にメイド喫茶でバイトしたり衣装を作ったりします。桃メインのオタク文化の描写が作品のメインコンテンツとなってきている感もありますが、長谷川さん参戦でやっと恋愛面も話が動き出したかなという印象です。
勉強イベントや下校イベントを経てデートの約束を取り付けるなど直輝が着実に長谷川さん攻略を進めていっている一方、桃は鈴木との関係は全く進展しておらず結果的に直輝との仲がより深まっただけのように思いますが、まぁこれは直輝の主人公補正というか物語の都合でしょうか。2人が意中の相手とすんなりくっついてしまったら面白みが無いですし。今巻の最後に直輝が桃を意識し始める布石みたいなのもありましたし、結局は三角関係に持っていくのでしょうかね。前回ほとんど描写のなかった長谷川さんについては、完璧超人な優等生故にクラスから浮いてしまっている女の子という描写がされて典型的な清楚系ヒロインといった立ち位置。ちょっとキャラの印象が薄いというか、もうちょっと濃い要素を付けてもいい気もしますが、長谷川さんが自ら動き出してくればまた違った面が見れるでしょうし今後に期待します。
それにしても2巻で既に主人公のリア充化が進んできていますね。ファッションセンスが壊滅的だったり、バイト仲間と馴染めなかったり、好きな子を前にするとキョドりだしたりと主人公の痛い描写は今回も健在でしたが、作品事情もあるにせよこいつは間違いなくリア充だ!長谷川さんからのメールを保護しまくるシーンは微笑ましく共感も出来ましたが、そろそろ恋愛面で痛い目にあっておきましょう、そうしましょう。村上先生どうぞよろしく。
主人公に対してなんだかんだ言ったところで結局は物語的には主人公に都合のいいキャラであることが決定している桃がプッシュされることに、作品構成上しょうがないにしてもどこか納得の行かない私は完全に長谷川翠派です。今回出番は増えましたが終始受身に徹していたのでいまだキャラが掴みづらい。3巻以降の彼女の本格的な参戦を期待します。