乙女はお姉さまに恋してる2〜窓越しの異邦人〜

今回は嵩夜あや先生の『乙女はお姉さまに恋してる2〜窓越しの異邦人〜』の感想です。
原作ゲームのライター自らのノベライズ作品第2巻ですが、前巻同様今回も基本的には原作ゲームと同じ出来事が収録されているだけで、新規イベントが書き下ろされているといったことはありません。ただ、原作内でのエピソードがこの小説内で再構成されており、ゲームをプレイしたことのある人は複数のイベントの位置取りがゲーム版と異なることに多少の違和感を感じるんじゃないでしょうか。今回だと薫子の家についての話と、優雨と初音の姉妹の話が1冊全体を使って同時進行しながら展開されました。まぁゲーム未プレイの人にとっては全くもってどうでもいいことでしょうが、プレイ済みの人はゲーム版とはまた少し違った読み方が出来るんじゃないかと思います。
そんな風な楽しみ方も出来たり、ゲームのおさらいが出来たりとそれなりに楽しんだわけなんですが、今回の主軸が薫子エピソードと優雨・初音エピソードだったためか少し千早の印象が前巻に比べて薄くなったかなぁと感じてしまったのが唯一の不満ですかね。当然主人公ですから十二分に出番は有りましたが、1巻ほどのインパクトは無かったのではないかと。
あと、この巻ではそこまで重要ではありませんが、千歳さん関連の超常現象が全面カットされていたのは今後どのようにまとめるんでしょうか。今後の巻で唐突に出てこられても違和感が大きそうなので、現実的な内容に置き換えるんでしょうか。今後もゲームにあったイベントを消化する形式をとっていくのだとしたら、そのあたりがゲームプレイ済み読者としては最大の関心です。
基本的に既存のイベントをなぞっている展開なので、ゲームとの差異についてしか特筆することがないんですが、プレイしたのは大分前なので、おさらいというか、再びおとボク2の空気に触れられるといった楽しみがありますね。完全に新規読者としてこの作品に触れたいという欲求はありますが、まぁ無理なものは無理ですし、3巻以降もプレイ組でしか味わえない楽しみ方を堪能しようと思います。
全くおとボク2とは関係ありませんが、千早と千歳という名前を見るとどうしてもミリオン先輩を思い出してしまいます。そういえばあの作品は女装キャラもいましたね。夜の学校の屋上で星を狙い撃っているお姫様でしたか。なんか読み直したくなってきました。穂史賀先生新作早く出してくださいよ…。