アイドライジング!

アイドライジング! (電撃文庫)

アイドライジング! (電撃文庫)

アイドライジング!〈2〉 (電撃文庫)

アイドライジング!〈2〉 (電撃文庫)

今回は広沢サカキ先生の『アイドライジング!』既刊2冊の感想です。
企業の最新技術を用いて作られたバトルドレスを身にまとい、特殊な力を用いてアイドル達が闘うショー“アイドライジング”に、山形からやってきた主人公アイザワ・モモが参戦し奮闘するという熱血アイドルストーリーである本作ですが、第17回電撃小説大賞金賞受賞作品ということで文章は非常に読みやすくストーリー展開も王道、1巻ではモモのマネージャーであるオウダ・サイ、2巻では同じくアイドルであるハセガワ・オリンとの友情を主軸に描いていく内容で、特に2巻ではライバルであり級友のオリンとチームを組んでのタッグバトルでの敗北とそこからの努力そして勝利、と熱血スポーツものとしてド真ん中を突き進む読者の期待を裏切らない熱い展開はどんな読者にも受け入れられる内容でしょう。
しかしこの作品のもう一つの売りは、間違いなく女主人公モモを軸とした百合テイストでしょう。まずモモは気に入った相手には過剰すぎるスキンシップを躊躇なく行うような子ですし、サイもモモに対して好意的、また先輩アイドルのタキ・ユウエンが百合な人だったりと人材からして百合臭しかしません。個人的にはタキがお気に入りで、性的アプローチをしすぎてモモに警戒されたりしてますが、いざという時頼りになるタキさんがとてもカッコいいですね。3巻以降での活躍を期待しています。
熱血モノとしても百合モノとしても十分楽しましてくれる期待の作品ですが、唯一かつ最大の障壁は売上でしょうかね。昨今の男性向けラノベ市場は男主人公の周りに複数のヒロインが配置されるハーレム作品が大勢を占めていて、主人公が女性の作品は売上的に伸び悩むことが多いようです。主人公に自己投影できないからでしょうか。しかし本作は女主人公だからというだけで回避するのはもったいない良作ですので、少しでも気になったら是非!読者が増えれば続きも安定して供給されるはず!!それが、私の願いです。