デート・ア・ライブ 十香デッドエンド

デート・ア・ライブ 十香デッドエンド (富士見ファンタジア文庫)

デート・ア・ライブ 十香デッドエンド (富士見ファンタジア文庫)

今回は橘公司先生の『デート・ア・ライブ 十香デッドエンド』の感想です。なにやらTVCMも放送されているようで、富士見書房もプッシュする気満々の今作。まぁプッシュされていなくても買いますよ、橘先生ですからね。
蒼穹のカルマ』シリーズの作者の新作ということでカルマと同様のカオス成分を期待すると肩すかしを食らうかもしれません。この1巻に限って言えば、平凡な高校生主人公が世界から忌み嫌われている精霊の女の子に出会って仲良くなるまでの過程を描いた超王道のボーイミーツガールなラブコメです。ただ主人公の正体や妹が司令官をしている理由など伏線はいくつも用意されていますし、文章のノリについてもカルマからはだいぶ勢いを落としているものの相変わらずですので、2巻以降でカオス成分を存分に振り撒きつつしっかりと伏線が回収されるような作者の持ち味が存分に発揮される展開をカルマファンとしては是非とも期待したいところです。
ストーリーも王道ですがキャラクターも押さえるところは押さえてます。私が気に入ったのはクラスメイトの鳶一折紙。カルマに出てくる槙奈と同じ鳶一姓ですがあそこまで可哀想な扱いではなく、主人公と過去に何かしらの関係を持つ天才クラスメイトで十香の恋のライバルという、しっかりと第2ヒロインしてます。まぁ、主人公の体操着の匂いを嗅いでいることを本人にカミングアウトするヒロインが正しいヒロインなのかは各自の判断に任せますが。
全体的には、カルマシリーズの変態・カオス成分をラブコメ分に割いた分一般受けしやすい作品になった印象。ドラマガ短編もラブコメ話でしたのでそういった路線なのでしょうか。ただ前述の通り伏線もしっかりと用意されているのでまだ分かりません。作者が橘公司先生というだけで、何か起こるのではないか、という期待を持たせてくれるのはカルマシリーズの功績が大きいでしょう。この感想でもなにかとカルマと比較したりしてますが、そんな考えさえも斜め上に裏切ってくれる傑作になることを期待しています。