私とあなたの青春革命。

私とあなたの青春革命。 (電撃文庫)

私とあなたの青春革命。 (電撃文庫)

今回は広沢サカキ先生の『私とあなたの青春革命。』の感想です。
普通科とアイドル科の2つの学科か存在する白桜台学園では、アイドルを守るために非常に厳格な校則が設けられ、それにより強大な権力を有した生徒会による圧政が敷かれていた。生徒会になされるがままの生徒たちの中で唯一反旗を翻し、大胆不敵な行動で抗い続ける美少女・麒麟堂奏子に見初められた主人公・天道優馬は、平穏とは程遠い学園生活に身を投じる事となる。
アイドライジング!』の広沢先生の新作はそんな感じの巻き込まれ型主人公のラブコメ作品です。正直言うとアイドラの新刊か女主人公の新作が欲しかったところなのですが、実際読んでみるとまぁなんとも平凡な作品ですが悪くはないかなといった感じです。最初は麒麟堂先輩は典型的な傍若無人ヒロインかと思っていて、それでは生徒会側と変わらないのではと不安だったのですが、話が進むにつれて先輩が他人想いの優しい人であるということがしっかりと示されて、最終的にはそれなりに好感の持てるキャラクターになったと思います。敵側の生徒会についてもここまで頭のおかしいレベルで悪役だと心から嫌うことが出来たのでこれでよかったのでしょうかね。最後に出てきた生徒会長はなんか面倒そうなキャラですけど。
全体の内容・展開については特筆するほどのこともなく、凡庸な主人公が勇気を出して先輩を助け出し一矢報いたというだけでありがちなものですし、主人公の優馬も特に魅力はありません。典型的なラブコメ用巻き込まれ型主人公です。これなら麒麟堂先輩を主人公にして話を進めたほうがいいんじゃないでしょうかね。それなら女主人公で私にとってとても魅力的な要素が付与されることになるんですが。
あと読んでいて気になったのですが、この話って生徒会の悪行とか以前に、アイドル学科なんていう特殊な学科があるくせに、アイドル科と普通科を中途半端に共存させていたり、アイドルの保護を学生に丸投げして生徒会の横暴を容認している学校側の運営形態がそもそもの間違いなのでは?そこはマジレスせずにコメディとして受け入れて楽しむべきなのでしょうが、どうも気になって純粋には楽しめなかったかもしれません。
文章はアイドラ同様読みやすく、全体通してみれば悪くはないんですが色々と不満点もあり良いとは言い切れないといったなんとも煮え切らない感じです。結局、結論としては「はやくアイドラ5巻出してくれよ!」というところに収束するのですが、いつになるんでしょうかねぇ。青春革命と並行するんだとしたらペースも落ちそうですし、正直アイドラに与える影響のほうが本編内容よりも気になる本作ではありますが、続きが出ればおそらく買います。作家買いですね。それまでは電撃文庫マガジンと萌王の掌編でしのぎます。