蒼穹のカルマ8

今回は橘公司先生の『蒼穹のカルマ8』の感想です。
騎士団のエースであり、魔人のマスターであり、勇者であり、魔王であり、神であり、女子高生であり、魔法少女であり、赤ちゃんであり、そしてなにより姪・在紗のことしか頭にない最強の叔母である鷹崎駆真が繰り広げるハイテンション暴走ファンタジー蒼穹のカルマ』シリーズ、堂々完結!全ては授業参観のために―。
前巻から1年の時間を置いて遂に出ました最終巻。リサとの騒動にケリをつけ、知人を皆引き連れて在紗の授業参観に参加せんと意気込む駆真だったが、当日になって皆それぞれ急用ができて参加できなくなってしまう。ひとりでも欠席すれば在紗が悲しんでしまう。そんなことはあってはならないと、それぞれの用事を片っ端から解決しようと奔走する駆真。全ては授業参観のため、全ては在紗のため。最後までブレなかった、ブレるはずがなかった主人公・駆真の全てが本当に清々しかったです。それこそがこの作品の根幹であり、私が惹きつけられた一番の要因でしょう。
授業参観に参加するために問題を解決していくという1巻と同様の流れではありますが、一人で全て突き抜けた1巻とは違い、仲間たちが周囲を固めて一致団結していたのも最終巻ということもあり感慨深いものでした。話のテンポもよく、橘先生の読みやすい文章もあってスイスイ読めたのですが、終りが近づいてくるとやはり悲しくなりますね。もっと駆真や在紗、槙奈やアステナ、ウタたちが騒ぎ回るのを読んでいたいという思いがこみ上げてきて、自分がどれほどこの作品を気に入っていたのかを思い知りましたが、それでも『蒼穹のカルマ』という作品が一点の曇りもなく完結したということを一読者として素直に喜びたいと思います。正直最後の挿絵とあとがきイラストは涙腺が少しやばかったです。
主人公・鷹崎駆真の在紗への愛で溢れたこのシリーズも遂に完結してしまいましたね。この作品が購読リストから外れるのは私にとってかなりの痛手ではありますが、別れの悲しみに暮れるよりも、出会えたことへの感謝を。橘公司先生、森沢晴行先生、本当にありがとうございました、お疲れ様です。