アイドライジング！３

アイドライジング!〈3〉 (電撃文庫)

今回は広沢サカキ先生の『アイドライジング！３』の感想です。一段落したと思ったら、また急に身の周りが忙しくなってきたのですが、それでも私は空いた時間でラノベを読み続ける！
さて、バトルアイドル物語（百合成分含む）も今回で３冊目。今まで紆余曲折ありながらもそれなりに上手く行っていたモモのアイドルとしての日々。しかし今回、モモの前にオペラ・オービットの一人、ムラサメ・キジョウが立ち塞がる。今までに経験したことのない強大な敵を前にして、モモはアイドルとしてのアイデンティティーを問われることになる・・・。
なんて書いてて思い出しましたが、モモって実家の牧場の牛を買い取るためにアイドルになったんでしたっけ。そりゃ勝ち負け以外のアイドルとしての信念とかもないでしょうね。タキの負傷によって偶然巡ってきた舞台で味わった挫折をどう乗り越えるのかと思いましたが、仲間たちに支えられ、最後には「みんなを笑顔にできるアイドルになりたい」という回答に辿り着く様はとてもモモらしく、最後の笑顔の挿絵と相まって負け試合なのに爽快感が素晴らしかったです。今回はモモが精神的に成長するという点で中々重要な話ですね。そしてモモの背中を押すオリンがカッコよすぎる！なんだあのイケメン。
あと、百合面では天然のモモとツンデレのオリンとのいちゃいちゃや、タキさんのモモへのアタックなどが今まで通りしっかりと用意されている中に、ムラサメ・キジョウという新たな要素が加わったのが大きいですね。今まではアタックしてばかりだったタキの弱さが見られたことや、他人からの想いには鈍感という意外性、そしてキジョウからタキへの好意など、色々とおいしい要素が多くて非常に満足でございます。後はエリーが絡んでくるのを待つばかり。
モモが着実に成長しつつ登場人物も増えてきて、いよいよ舞台は整ったという感じの本作。読めば読むほど惹きこまれて、最近の作品では一番のお気に入りです。前回の感想で述べた通り未だに売り上げという問題が付きまといそうですが、ここでメディアミックスという予想外の追い風が吹いてきたようで、当面は続くとみていいんでしょうかね。本作のバトル描写などはアニメや漫画などで非常に映えると思いますし、これを機にどんどん新規読者を獲得してほしい作品です。女主人公作品のためにも、そして百合作品のためにも。
余談ですが、カラーイラストを見て、てっきりキジョウは遠距離型のアイドルだと思ってました。180度逆のスタイルでしたね。まぁ、ラノベじゃよくあることですが。